サボテンブログ
2020.11.17
サボテンと多肉植物を愛する皆さん!
今年の「第7回 おもしろサボテン品評会!」もいよいよ大詰めを迎えてきました!(はずだ・・・)
本公園秘蔵のサボテン・多肉植物の中から「お客様の心を最も捉えることの出来た栄えあるサボテン!」をお客様のご投票で決めようというこの企画!今回も張り切ってエントリーされた植物たちをご紹介いたしましょう♪
先ずはエントリーナンバー⑥番、ジグザグノキ(Decarya madagascariensis、ディデイエレア科)
「名は体を表す」をまさに地で行く植物!誰に頼まれたわけでもないのにジグザグ ジグザグと伸びていく枝は何を目指しているのか?自然にこのような形になっていくというのだから不思議です。
マダガスカル島が故郷のディディエレア科の一属一種の特異の植物! 当然、マダガスカル島だけにしか野生のものはありません。まさに珍植物オブ珍植物!
一番元の部分はまっすぐなのです。
この植物は、枝の節で120度ほど方向転換して伸びていくという不思議な性質があります。節ごとに枝の方向が変わるから、結果的にジグザグになるという訳!節の所にはトゲが生えています。
こうして、鉢に植えると、なかなか立派な姿! 稲妻を植物の形にして固定したようです。 なかなか市場に出回ることはありません。 当然、育てている人もめったにいません。 ちなみに本種は実生の株。
ほとんどジグザグの枝のみですが、成長期には一時的に小さなかわいい葉をつけます♡ この株も春に何回か葉を出したことがありますが、もともと乾燥地に育つためか水分を奪われないよう葉はすぐに落葉してしまいます。
耐寒性はやや弱く、冬は7度以上の温度が欲しいところです。 雌雄異株です。
さて続いては、エントリーナンバー⑦番、カネノナルキ(Crassula ovata 、ベンケイソウ科)
ベンケイソウ科の多肉植物 園芸名では花月(カゲツ)と呼ばれているのが一般的です。 んっ!しかしこのカネノナルキ!なんか付いているような?
そうです!このカネノナルキには、正真正銘、お金(古銭)が付いているのです!
昔はどこでも、このカネノナルキはこのようにして売られていたそうです。いわゆる縁起物!
もともとこのカネノナルキは、その膨らんだ丸い葉が、硬貨に似ているため英語では「マネーツリー(money tree)」と呼ばれていた、とても縁起のよい植物なのです。
日本では昭和初期に渡来した植物ですが、この時、日本の栽培業者がさらに縁起物として売り出すために5円玉の穴を頂芽に通して固定し、若枝が硬貨の穴を通ったまま成長するようにし、あたかもお金が実っているように育て上げたのがこの植物! ちなみにお金をくっつけてもこの植物の育成には一切影響はありません。
お金をくっつけるには、お金が落っこちないように、植物の先端を傷つけないように穴を通し、そのまま植物がお金が落ちなくなるまで気長に成長させなくてはなりません。
制作者の育てる苦労がしのばれます。
ちなみに、鉢の元の部分はこう♪ コケをあしらい、わび・さびの部分を強調しています。このコケをこのまま維持していくのがまた課題!
こうしてみると、盆栽のよう!実際、昔の家にはどこでもこのカネノナルキが一鉢は置いてありましたな♡
このカネノナルキ(こと花月)、無霜地帯の露地で栽培すると3メートル以上の大きさに成長します。(本公園の第2温室にも大きな株があります。)
また生命力がとても強く、葉が一枚、地面に落ちるとそれが根を出して成長していきます。
とても生命力が強く、また金運も付きそうなカネノナルキ、皆様のご家庭でも一本、どうですか♪
そうそう、花もきれいで大きな株に成長すると、冬頃白色から淡桃色の小さな花をたくさん咲かせます。
さて、続いてはエントリーナンバー⑧番、キャットテイル(Cleisitocactus winteri ssp. coladenomonis)
非常に個性的な鉢に入って登場!その名の通り猫のしっぽのようなモフモフの白い毛に包まれたサボテンです。
むふふ♡ さわってみたいでしょ♪
白い長い毛のようなものはこのサボテン特有のトゲで成長するにつれて長くなります。このトゲは根元の方が固く、しかも短く硬い別のトゲも生えているので(見ただけではわかりませんが)うっかり強く握ると痛い目にあってしまいます。
ちなみに根元はこう!自生地、ボリビアでは枝分かれをして 地面を這って(匍匐<ほふく>して)、生えているそうです。
トウダイグサ科 エノキグサ(アカリファ)属の植物の中にも、赤い花穂を猫のしっぽのように咲かせるキャットテイル(Acalypha hispaniolae)というものがあるのですが、こちらはサボテン本体が立派なしっぽのようになっています。ちなみにサボテンのキャットテイルは赤ピンクの綺麗な花が咲くようです。
ちなみにキャットテイルというのは、じつは日本での呼び方! 英語ではこのサボテンのことをモンキーテイル(Monkey tail cactus)=サルのしっぽと、呼ぶそうです(どっちにしてもしっぽなんですが・・・・・)
う~ん!・・・いわれてみれば、うちのリスザルたちのしっぽにそっくりなような・・・・・・
さ~て、次の植物は、エントリーナンバー⑨番、チーム、リトープス(Lithopus 、ハマミズナ科 )、通称 リトープス丼!
きゃ~♡ 綺麗! 一つの鉢の中に 玉石を思わせるような美しい植物たちが並んでいます!
さあ~~~! 上から行きますよ!
富貴玉(フキギョク)、紫李夫人(ムラサキリフジン)、白薫玉(ハククンギョク)、黄微紋(オウビモン)、紅福来(コウフクライ)、繭形玉(マユガタギョク)、ヒプレッド、紫褐紫勲玉(シカツシクンギョク)、ウェベリー、レティクラータ、麗春玉(レイシュンギョク)、緑福来玉(ミドリフクライギョク)、ボルキー、菊章玉(キクショウギョク)、朱唇玉(シュシンギョク)の15種類!(疲れた・・・・・)
一つ一つの種類の模様がすべて違います。別名「生きている宝石」!
リトープスの故郷は、南アフリカ、ナミビア、ボツワナの乾燥地帯!片麻岩(へんまがん)大地の南斜面岩床の割れ目や崩壊した礫砂(れきさ)に覆われた立地に自生しています。(石英(せきえい)などの小石があるところです。)
この脳を思わせる複雑な模様や色をして膨らんでいる部分は、この植物の葉っぱの部分! リトープスは、この複雑な模様の表面の部分だけを地上に出し、後の部分はすべて地中に埋もれて隠しています。
この複雑な模様はじつは周りの礫砂と同じ模様!そのため見つけるのが困難で、動物の食害からこの模様が迷彩色のように身を守るのに役に立っている、と言われています。
つまり、リトープスは周りの大地に色に合わせて、「石に擬態(ぎたい)」しているのです。複雑な模様は、周りの石の色に合わせているため!そのためこんなたくさんの模様があるという訳です。
自然は長い時間をかけて、時にとんでもない多様性を生み出すことがあります。
ちなみにその一つ一つの違いを楽しみながら、こうしてまとめてリトープスを植え込み、その変化を愛でる♡、のが知る人ぞ知るこの植物の育て方♪
通称、リトープス丼!(いや・・勝手に呼んでるだけですが・・・・・)
このビジュアルが人気を呼び、今、この品評会でも大人気です♪
もうひとつ!このリトープスは「脱皮をする植物」としても知られています。
春になると、外側にある古い葉がしおれて、真ん中から新しい葉が顔を出します。新しい葉は古い葉を押しのけるように出てきて、古い外側の葉は徐々に水分がなくなり、やがてカラカラに乾いた状態で新しい葉の下にへばりついた状態になります。この一連の現象が、このリトープスの「脱皮」と呼ばれるものです。
春に脱皮をしたリトープスは、そのまま夏に休眠して、秋になるとまた膨らんで成長を再開します。普通の植物とちょっとサイクルが違いますね♪
花もきれいでしょう♪ 品評会 開催期間中にいつの間にか可憐な花を咲かせておりました。状態が良ければ、一年に一回はこんな花を咲かせます(秋)♡
さ~て最後にご紹介いたしますのは、エントリーナンバー⑩番、白星(シラボシ Mammillaria plumosa)
メキシコが故郷の ふわっふわっ♡のトゲを持つサボテン!
トゲの形が鳥の羽みたいな構造になっていて、さわってもちっとも痛くありません!
寒さや紫外線などから身を守るのに、このトゲが役に立っている可能性がありますが、このサボテンは本来、最低気温が10度前後の割合暖かいところへ自生しています。そのためあまり寒いのは苦手! 事実、暖かい日の当たる温室へ移すと元気がよくなり、クリーム色の花を咲かせるようになります。ちなみに暑いのも苦手!特に夏の湿度の高い日には蒸れないように気をつけなくてはなりません!(じゃあ、何でこんなトゲ しているんでしょうね~~?・・・)
ま、まあ・・それはともかく・・・ 一見柔らかいように見えて実は中に硬いトゲを持っているサボテンが多い中で(さっきのキャットテイルもそうでしたな・・・)このサボテンは本当に鳥の羽毛のような柔らかいトゲだけで構成されています。 どの位、やわらかいかって?・・・・・・ふっふっふっ♪・・・・・さわってみたいでしょ?・・・
じつは、触ることが出来ます♪ こちらの小さいほうの白星なら♡ 本来このトゲは汚れが付きやすく、この白星は育てている人には触るどころか水もかけてはいけない、「お触り厳禁!」のサボテン!(水をあげるときは、水差しなどで、本体にかからぬよう根元に直接、あげるようにします) しかしここでは、このサボテンの面白さを知っていただくため、この小さいほうのサボテンに限り、あえて触ってその感覚を確かめていただく事にしました。
ご来園の皆様!どうかこの不思議なサボテンにやさしく触れてみてください♪(ちなみに触るときのために、サボテンのそばには消毒液が置いてあります。)
大きいほうの白星は、現在、奇抜な鉢に植えられていて、一段と存在感を増していますが、じつはこのサボテン、展示しているとはいえ、目下、絶賛販売中♪(だから鉢も派手!)
蒸し暑さにさえ気をつければ、寒い中でも案外よく持つことが出来(日当たりの良いところで窓辺で育ててね♪)、頑丈なサボテンです。ふっふっふ・・育ててみますか?
いよいよ、佳境を迎えた「おもしろサボテン品評会」!果たして、皆様の心を最も捉えることの出来た「栄えあるサボテン(多肉植物)」は誰の手に輝くのか? 皆様の応援、よろしくお願いいたします!(結果はホームページで発表いたしますね♪)
植物エンターテイメント課 一同
記録:真鍋