サボテンブログ

2019.11.10

第3弾!おもしろサボテン品評会! 今年も開催しています!

サボテンと多肉植物を愛する皆さん!

11月に入り、寒くなって参りました。寒さを吹き飛ばす!「おもしろサボテン品評会」 今回も張り切って出展植物を紹介していきます。

先ずは、エントリーナンバー⑨番、フランコイシ―  v. クラシカウリス(Euphorbia  francoisii   v.crassicaulis  、トウダイグサ科)

おしゃれなコーデックス(塊根植物)! 赤い葉脈の入った葉が、何とも美しく、まるでカラーリーフのようです♡

中央の赤い小さな器(うつわ)のような花がこれまたgood♪  ちなみに細かく言うと、本当の花の部分は中央の黄色い部分、器のような赤い部分は苞(ほう)と呼ばれる葉の一部!

根元の部分は、このように複雑な形に膨らんでいます。この根元の部分に、水や養分を蓄えて、乾燥した気候でも生きていくことが出来るようになっています。このような植物をコーデックス(塊根植物)と呼び、多肉植物マニアの間で人気があります。

このクラシカウリス(すいません・・・長いので略しました)は、カラーリーフの魅力と、コーデックスの魅力を備えた、お得な逸品というわけです。

「フランコイシ―  v. クラシカウリス」の故郷はマダガスカル南部、トゥリアラ州 Ranopiso(ラノピゾ)近郊の小さな町Andrahomana(アンドラホマナ)という所。ごく限られた範囲に少数の個体群のみが確認されているというじつはかなりレアな植物!

海岸に近い乾燥した灌木林のブッシュの下などに自生しているといわれています。

同じく、カラフルな葉で有名な「ユーフォルビア フランコイシ―  Euphorbia  francoisii  、トウダイグサ科)の変種とされていて、1997年に新種として、記載されています。

 

 

ほらほら、こう書くと、なんだか、とても貴重な植物にも見えてきたでしょう♪

 

 

実際、純粋な、クラシカウリスであれば大変貴重です。この植物は上に紹介したフランコイシ―や近似種との交配で創り出されたハイブリッド(交雑種)も多く産出されていて、純粋なクラシカウリスを入手するのはとても難しいのが現状とされています。(さてさて本種はどっちでしょう?)

ちなみにクラシカウリス(crassicaulis)とは、ラテン語の「crassi(太い)+caulis(茎)」の合成語で「太い茎の」という意味があります。

 

いやにこの植物を推していると思われるかもしれませんが、じつは見た目の地味さが災いしてか、このクラシカウリス、もう一つ投票が伸び悩んでいます(泣)。本当に美しい植物なんですけどね~~~。

もうひとつ!このクラシカウリスは、花キリンと同じトウダイグサ科の植物で、寒さには弱く冬は暖かい場所で管理をしなくてはなりません(この品評会が終わったら、すぐに暖房付き温室へ移動だよ~ん♡)。

 

 

 

というわけで、次の植物を紹介いたしましょう!

エントリーナンバー⑩番、ビスピノーサム(Pachypodium  bispinosum  、キョウチクトウ科)

ふっふっふっ・・・・美しいでしょう! 薄茶色の表皮をしたボトルのように大きく膨らむ幹が何とも魅力的な、こちらもコーデックス(塊根植物)。まるで壺に挿した植物のように、頂部に美しい緑の葉が茂っています。 こうしてアンティークな窓の側に飾ると、誠に絵になるではありませんか!

このビスピノーサムの仲間パキポデューム(Pachypodium)は、第4温室(マダガスカル館)にも展示されています。

上は、第4温室のパキポデューム(右の黄色い花を咲かせているとげだらけの植物がそうです。)

じつは、このパキポデュームの仲間の多くは、マダガスカルが故郷なのですが、ビスピノーサムはアフリカ大陸に自生している数少ないパキポデュームの一種です。

細かく言うと、南アフリカ、東ケープ州の南端、ポートエリザベス近郊が故郷、小石の多い平原やなだらかな丘陵のふもとなどに自生しています。

 

 

 

う~ん、ムッチリ! 成熟した株になるとなんとこれが1mほどの大きさに育つこともあるようです。

この通りまるまると太った姿がとても魅力的なのですが、自生地では、この丸い塊根部分はほとんど地面に埋まっているとのこです。(なんかもったいない気もしますが、まあ、この植物にとっては、水を蓄えるための大切な部分ですから当然といえば当然!)

ビスピノーサムとは、「対になったトゲ」トいう意味。上の写真を見てください葉っぱの間に鋭いトゲが生えているのが分かりますか?

この植物は、根茎の頂点の部分から、細長い葉と供に名前の通り、対になった細いトゲをはやします。

こんな姿ですが、じつは花はとてもきれい!との事。この子ではまだ確認されていませんが、成長期になると、淡いピンク色をしたベル型のとてもかわいい花が咲くとのことです♡(春咲き)

 

自生地である、ポートエリザベスは、厳冬期には氷点下近くまで気温が下がることがあります(アフリカなのに!)そのため寒さに弱いパキポデュームの仲間では、このビスピノーサムは比較的耐寒性が高く、大きな株だと無加温で冬を乗り切りことも出来るそうです(試したくないな~) ただし冬の間は、断水気味にして、日光のよく当たるところで育てることが大切です。

 

 

 

さて、続いて、エントリーナンバー⑪番、ユーリキニア・カスタネア  スピラリス(Eulycnia  casutanea  f.  spiralis)・・・・長いので略して「スピラリス」と呼びましょう!

「これがサボテン?」と一度見たら忘れられない独特の形!

ねじり飴のような螺旋を播いた体によく見るとピンピンとしたトゲが生えている何とも奇妙な形をしています。

こんな植物(生物!)を創り出すのだから創造の神様は発想豊か!というものです。

 

このスピラリスというサボテン!  「恐怖閣(キョウフカク)」という、何とも怖い名前を持つ本来はまっすぐに伸びる柱状のサボテンが、成長点が突然変異などによって異常をきたす石化(セッカ)という現象を起こしてこのような形になったものです。(このようなサボテンを「モンスト個体」といいます。)

 

実はその恐怖閣(キョウフカク)、伊豆シャボテン動物公園の第1温室(南アメリカ館)で、ずっと昔から展示されています。

上の写真がその恐怖閣(キョウフカク Eulycnia  casutanea) !    南米チリのパタゴニアに生えるサボテンで、名前が示す通り、サボテン全体が、長い鋭いトゲに覆われています。

こちらは、再び「スピラリス」、どうです!ずいぶん印象が違うでしょう。

このスピラリスは、原種である恐怖閣から偶然、発生したといわれています。 らせん状の成長していく仕方には複数パターンがあるようで、「螺旋状にねじれるように成長するタイプ」、「分厚い円盤を重ねるように伸びていくタイプ(本種はこれですかね!)」、「ボコボコト波打つように成長するタイプ」と幾つかの成長パターンがあるのもスピラリスの魅力の一つといわれています。

またこの成長パターンは育てていくうち、突然変わってしまうこともあります。

 

いずれも大変な人気があり、インターネットなんかで、稀に販売されることがありますがすぐに売り切れてしまう様で、なかなか手に入れるのは容易なことではありません。

 

ところが、今本当に貴重なのは、じつは原種の「恐怖閣(キョウフカク)」の方! こちらは現在ほとんど流通が無く、実はこの「恐怖閣(キョウフカク)」という名前自体、現在ではほぼ使われることがありません(うちだけか!)。

 

原種である恐怖閣(キョウフカク)は、常に強風が吹いている、パタゴニア地方のサボテン!そのためこのスピラリスも、日本のじめじめとした梅雨の蒸し暑さは苦手らしく、夏は、管理に気を遣わなくてはなりません。

 

 

 

 

さて続いての植物は、エントリーナンバー⑫番、リトープス(Lithopus  sp 、ハマミズナ科)、一個だけバージョン!

「どこにでもあるじゃん!こんなもの!」と言うなかれ。じつは意外とこの品評会でも人気のある一品。自生地が、南アフリカ、ナミビア、ボツワナと日本と反対側の南半球にあるためか、成長期は秋~冬、夏は成長を停止してほぼ休眠状態にあります。

夏にはほとんど目立たない為、その体の小さいことも災いして、本公園の温室に展示するのはちょっと一苦労!改めてこうしてじっくりと見ることがなかなかできない植物です。

もちろんサボテンではなく、ハマミズナ科の多肉植物。一般にメセン類と呼ばれています。真中が割れて膨らんでいる茶色っぽいクリーム色の丸い部分は、この植物の2枚の葉っぱに当たる部分です。(真中の黄色い細長いものは、花のつぼみです♡)

よく見ると、この丸い葉の表面の部分が、人間の脳を思わせる複雑な模様になっているのが分かりますか? じつはこれ、自生地の周りの石の模様に似せているんです!

このリトープス、生えている所の多くが砂利の多い砂漠や岩場で、その周辺の砂利や石に似た色合いや模様をもって「石に擬態」をする植物として知られています。

 

さらにこのリトープス、同じメセンの仲間の「コノフィツム」と供に、何と「脱皮(だっぴ)をする植物」としても知られています!

「えっ! 植物が脱皮(だっぴ)! セミじゃあるまいし、まさかあ?」と思われるかもしれません。もちろん厳密な意味での脱皮とは違いますが、・・・・

このリトープス、一年に一回、外側にある古い葉がしおれて、上の写真にある真ん中の割れ目の部分(今は、黄色い花のつぼみが上がっている所ですね)から新しい葉が、まるで生まれてくる子供のように顔を出し、まさに脱皮をするように、それが古い葉を押しのけて出てきます。

古い葉は、徐々に水分が無くなり、やがてカリカリに乾いて、新しい葉の下にへばりついた状態になります。この一連の現象が俗にいう、メセン類の脱皮です。

 

 

新しい葉は春に形成されます。つまり脱皮も春に起こります。 そう!春に・・・・・・

「ごめんなさいっ!」・・・じつは私、間違っておりました。 脱皮は秋に起こるものと・・・・あああ・・・ 恥ずかしい。

同じメセン類のコノフィツムも春に脱皮をして、新しい葉が形成されます。その後、夏の休眠に入る前に古い葉は、枯れてそのままコノフィツムを覆って保護材となり、秋の生育期にそれこそ、まるで脱皮をするように古い葉を破って新しい葉が顔を出します。

つまり私は、それを脱皮と思っていたのです。(ああ情けない。間違って覚えた人がいなければいいが・・・)深く反省しています。

 

結論をいうと、春のうちに脱皮を済ませたメセン類は、そのまま夏に休眠して、秋になるとまた膨らんで、成長を再開していたのですね。

 

時にこのリトープス、品評会 開催期間中にこのように花が咲きました♡

品評会の時期は、ちょうどリトープスや多くのメセン類の花の時期でもあります。ちょっとキクを思わせるようなきれいな花ですね。

おみやげのサボテンを販売している「サボテン狩り工房」でも幾つかのリトープスが花を咲かせておりました♡

上の写真はリトープスの李夫人(リフジン Lithops  salicola) 白い花ですね。リトープスは表面の模様だけでなく、美しい花も楽しむことが出来る植物です♪

 

さ~て、「おもしろサボテン品評会」もいよいよ後半にさしかかって参りました。

ご来園の際はぜひ、魅力的な植物達に会いに来てください。(私も勉強のやり直しじゃ~~~)

 

植物エンターテイメントより

記録:真鍋