サボテンブログ
2018.11.11
サボテンと多肉植物を愛する皆さん!
毎度、おなじみ 「おもしろサボテン品評会」 ただいま出展中の愛すべき♡ 植物を紹介するコーナーがやってまいりましたよ~~~♪
「おもしろサボテン品評会」残すところ あと半月を残すのみとなりました ! 大事な植物達のため、今回も張り切ってご紹介いたします。
先ずはエントリーナンバー⑪番 緋牡丹(ヒボタン Gymnocalycium mihanovichii Hibotan
) 「手を振り上げバージョン!」
「やっ♪ こんにちわ!」と手を振っているようなこの姿! 赤い頭が、何ともプリチー♡なサボテン
角度を変えると・・・・ う~ん、こっちはまるで敬礼をしているみたいです。
実は! 上の赤いサボテンと、 下の方の手を振っている緑のサボテンは、全く別のサボテン ! 「緋牡丹」と呼ばれているサボテンの本体は、上の赤いサボテンです。
下の方の、まるで手を振っているような緑のサボテンは、竜神木(リュウジンボク Myrtillocactus geometrizans)というメキシコが故郷の柱サボテン!
赤いサボテン「緋牡丹」は、突然変異によって生まれた、葉緑素がまったくないサボテン(赤いのは、そのためです)! そのままでは、光合成が出来ず、生きていくことが出来ません。
その為、下のサボテン「竜神木」から、栄養をもらって生きているのです。このような育て方を「接木」といい、サボテンをはじめ、自分だけで生きていくにはハンデがある、多くの植物で行われています。
この「緋牡丹」、下の接木になっているサボテン(これを台木といいます)が枯れると自らも生きていくことが出来ないため、長く生育させていくことはなかなか難しい切り花のような、儚いサボテンです。
しかし、この展示されている「緋牡丹」!その割にはとても大きく育っていて、普通に売られている「緋牡丹」とは少し様子が違います。(園芸店で売られている緋牡丹はこの4/1位の大きさです。)
普通に売られている「緋牡丹」の接木になっているサボテン(台木)は、「三角柱(サンカクチュウ Hylocereus trigonus」という、接ぎ易いけど、あまり長持ちのしないサボテンです。
でも、ここで展示されている「緋牡丹」の台木は永久台木として、非常に丈夫で長持ちのする「竜神木」!そのために上の「緋牡丹」は弱ることなく、ここまで成長しているのです。
ちなみに、この台木の「竜神木」!人っぽいポーズに成長することが多いせいか、この温室の中に「しゃぼこ」と「しゃぼお」という姿で、別に展示されています。(どこにいるのか?探してみましょう♡)
さ~て、次の植物! エントリーナンバー⑫番 刈穂玉(カリホギョク Ferocactus gracilis)
見事な、赤いトゲ! 日の光が強く当たるほど、そして紅葉と同じで、昼夜の寒暖の差が大きいほど、鮮やかな赤い色になります。
この赤い鮮やかなトゲを、維持しておくのが至難の業 ! 日本では光不足になりがちな上、湿度が高く、自慢の赤いトゲもすぐに色あせるか、あるいはトゲに真黒なカビが生えて、せっかくのトゲの赤を台無しにしてしまいます。 ここでも、普段は公園で一番日の光が当たる温室において、通期をよくして、カビに気をつけて育てているのですが、梅雨の時期、秋の長雨、そして、ちょっと雨が降ると、30メートル先も見えなくなるこの地域一帯の霧が、このサボテン達のトゲの色を落としていきます。
信州のサボテン業者さんなどは、その地の特性(昼夜の寒暖差が大きい)を生かして、見事な赤いトゲを育てるところもあります。何度か行ったことがありますが、それこそ、販売場全体が赤刺で、まっかっかに見えるほど ! (黄色いトゲのサボテンはそれこそ、まっきき!のトゲに育っています。)
今展示されている、本公園の刈穂玉はなかなか優秀な赤刺の美品♡だと思いますが、どうでしょう? (大きさは、子供の頭位あります)
この刈穂玉の故郷は、メキシコ、カリフォルニア半島、やはり日差しのとても強い所です。ちなみに花の色も赤 !
この刈穂玉よりもう少し南に分布しているのが、刈穂玉の変種「神仙玉(シンセンギョク Ferocactus gracilis coloratus )」。刈穂玉よりもう少し、太いトゲをしています。
さて次にご紹介いたします植物は、エントリーナンバー⑬番、白星(シラホシ Mammillaria plumosa)
どうです♡ このふわっふわっの綿菓子か、雲のような姿 !
メキシコが故郷のサボテンで、冬でも最低気温が、10℃前後の比較的、暖かい地域に自生しているそうです。
何と言っても最大の特徴は、この柔らかいトゲ、写真を見ると、とげが放射状に広がり、鳥の羽毛みたいになっているのが分かりますでしょうか ?
柔らかそうに見えて、固いトゲが実は中に入っている「だましたな!」といいたくなるサボテンも多いのですが、この白星は本当に正真正銘、触ってもまったく痛く無いサボテンの代表! 小さなお子様などが、おられるご家庭でも安心して育てることの出来るサボテンです。(ただしこの柔らかい白いトゲ、あまり触るとトゲが黒く汚れて、汚くなるので要注意 ! 本来はおさわり厳禁のサボテンです。)
但し、この綿みたいな(羽毛のような)、トゲが災いして、暑い夏は蒸れ易いのがこのサボテンの弱点! 綿のようなトゲが全面を覆っているため、トゲの下の緑の本体がどうなっているかよく見えず、気が付けば「あら~・・・・・!」とすっかり枯れていることも! 水やりは、鉢の根元に、水差しを使って直接に、本体にあまりかけないようにあげるのが上手く育てるコツです(特に暑い夏の日中には水をあげない方が良いでしょう。水を上げるときは夏は夕方、涼しくなってから。)
この白星、小さい内は。小さなゴルフボールのような丸いサボテンなのですが、大きくなると群生し、フワッ、フワッのゴルフボールがいくつも固まったかのような姿になります。
上手く育てることが出来れば、少しピンクの筋の入った、クリーム色の可愛い花が咲きます。
さて次の植物は、エントリーナンバー⑭番、 吉祥冠錦(キチジョウカンニシキ Agave potatrum `kichijoukan` f.variegata リュウゼツラン科)
陶磁器のような青緑色の肌に、黄みを帯びた美しい日覆輪、さらに作り物のような赤茶のトゲを縁に付けた美術品のように美しい逸品♡
本当の品評会なら、高い評価を受けて、みんなの称賛を浴びておかしくない植物です。しかし、悲しいかな ! ここは「おもしろサボテン品評会」! 個性的なほかの出展植物に埋もれて、もう一つ、地味で目立ちません。(哀れな奴・・・・・・美しいのに)
この吉祥冠錦、メキシコ原産のアガベ・ポタトラム(Agave potatorum)を日本で改良した斑入り(ふいり)種です。 アガベ・ポタトラムは日本名で「雷神(ライジン)」とも呼ばれています。
「斑入り(ふいり)」というのは、元々、緑色一色になるはずの葉が、遺伝的な理由やウイルスなどの外的な理由により、葉緑素の部分が欠乏し、白い色や赤みを帯びた色などが葉の中に入ることをいいます。
光合成に必要な葉緑素の一部(もしくはほとんど)が欠乏しているのだから、普通の緑色の植物より少し弱いことがあるのですが、とても美しい姿になるため、日本では「万年青(オモト)」など多くの植物で、この斑入りの植物が、大切に育てられてきました。
この吉祥冠錦もそうですが、この植物、リュウゼツラン科の植物は、一生の終わりに一度だけ花を咲かせる習性があります。昔は100年に一度だけ花を咲かせる植物としてリュウゼツラン科の植物を「センチュリープラント」などとと呼んでいたこともあったようですが、実際には30~40年程で花を咲かせ、その後本体は寿命が来て枯れるようです。
そうしてみるとまた、一段と儚い、貴重な植物のように、この植物が見えてきます。
さて、次の植物は、エントリーナンバー⑮番、荒波(アラナミ Faucaria tuberculosa ハマミズナ科)
この品評会が始まった頃は、ちょうど黄色い花を咲かせていました。今でも少し名残が残っています。
南アフリカが故郷の植物。南半球にあるため、この植物は「冬型メセン」と呼ばれ、寒い季節が成長期ですが、厳冬期(12~2月頃)には成長が止まります。
「荒波」という名前は、この植物に葉っぱの様子から名付けられたもの ! 葉の表面が、小さな突起がたくさん出ていて、まるで、飛沫をあげている大海の波のように見えませんか ?
葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一枚を思わせる植物です。
この特徴、「葉の表面が波の飛沫のように見える!」という特徴からか、荒波をはじめ、このフォーカリア(Faucaria)属の植物は他にも、「四海波」、「姫波」、「白波」、「雪波」といずれも波の名前を持っているものが多くいます。
しか~し、よく見てください!
この植物 ! 葉の表面が波というよりは、なんだか、大口を開けて、牙をむき出している怪物のようにも見えませんか ?
[エイリアン」! いやっ!昔「ゴジラ」に出てきた、植物怪獣「ビオランテ」か !
植物自体が小さいのであまり目立ちませんが、この特徴のため、このフォーカリア属の植物、「ビザールプラント」として、時々紹介され、話題になることがあります。「食虫植物か?」と聞いてくる人も稀にいるそう!
この品評会でも、不思議と人気が高く、たくさんの人がこの植物に投票されます。(ありがとうございます♡)
最もこれは、この「荒波」を植え込んでいる鉢、「カピバラ鉢(略してカピ鉢 !)」も一役、買っているよう♪
「可愛い~~♡」と人気なんです。(サボテン売店でも販売しています♡)
さて、「おもしろサボテン品評会」もいよいよ大詰め ! 皆様のご来園、ご投票をぜひ、お待ちしております。
植物エンターテイメント課一同
記録:真鍋