ANIMALS & CACTUS BLOG
動物 & サボテンブログサボテン 2024.10.28
第11回おもしろサボテン品評会! 絶賛開催中・その2!
サボテンと多肉植物を愛する皆さん! やっと秋らしい涼しさを感じるようになりましたな♪
第5温室(メキシコ館)で現在、開催中の「おもしろサボテン品評会」の個性的な植物たち!今回もがんばって、ご紹介してまいりたいと思います。
先ずはエントリーNo.⑤番「白鳥・綴化(ハクチョウ・テッカ Mammillalia herrrerae f.crist)」
「ジャーン!」見た目はどう見ても「脳みそ」!一目見ると、サボテンどころか「植物なの?」と聞かれそうな姿です。
個性的な鉢(スタッフが作りました♪)に収まり、一段と怪奇的な姿で登場です!(そういえばハロウィンももうすぐでしたな)
私たちスタッフの間では、ひそかに「ハ〇イダー」と呼ばれ、親しまれています。(今の子は知っているかな?)
本来の白鳥(Mammillaria herrerae)は上の写真のような白くて真ん丸な可愛いサボテン♪(白鳥の卵?)
メキシコ・ケレタロ州が故郷です。触ってもいたくないフェルトのような手触りのトゲで全身が覆われています。花もマミラリア属のサボテンにしては珍しいくらいの大きな花を咲かせます(濃いピンク色♪)。
やや、腐りやすくて育てにくいのが玉に傷!
それがまたどうしてこのような姿になってしまったのかといいますと、
本来丸く育つはずの生長点が突然変異により「帯状(おびじょう)」に広がったためこうして長いものがうねうねと波立つような形へとなっていったわけです。(よく見るとこのサボテン!線状の帯(おび)を折りたたんだ形に見えませんか?)
このような植物は「綴化 てっか」と呼ばれ、非常に面白い形になるため、園芸課の間では人気があり、大切にされます。
この「白鳥・綴化」の学名の最後の文字「f.crist」には「綴化(てっか)した」という意味があります。
この「白鳥・綴化」も触ってもちっとも痛くなく、そのトゲを大きくしてみると鳥の羽を思わせるような形をしています。
見るからに脳みそのような形から「ブレインカクタス(BRAIN CACTUS)と呼ばれることもありますが、意外と他の形にも見えるらしく、ご来園者の中には「ソフトクリームみたい!」、「白ヘビがのっているみたい!」などと言われたこともあります。
「綴化(てっか)」したサボテンは、それぞれ微妙に形が違うため、本サボテンは他に二つとない一品物です。
ところが、この「白鳥・綴化(ハクチョウ・テッカ)」、品評会期間中、頑張ってお客様の目を楽しませてくれていたのですが、残念なことに調子が悪くなってしまい、急遽、下げざるを得なくなりました。(現在、バックヤードにて療養中です)
従って、この「白鳥・綴化(ハクチョウ・テッカ)」に代わって、本公園でやはり小さくて、常設展示していなかったさる植物にバトンタッチして引き継いでもらうことにいたしました。
それが、この植物!
「ジャーン!」、ハ〇カイダーから金八先生へ!(何っ!・・全然似てないっ!・・・そりゃそうか・・)
誰ですかっ💢! アロエの葉にクシをかけて2等分したのはっ💢!
この植物の名は「アロエ・スプラフォリア―タ (Aloe supurafoliata) 、ススキノ科)!
普通のアロエと違い、葉が真ん中から左右対称に展開する珍しい形をしたアロエです。 本公園、初公開♪
エントリーナンバーは「白鳥・綴化」を引き継いで⑤番!
葉が、左右に重なるように広がっていく様子が、本を開いたように見えることから「Book Aloe(ブック アロエ」とも呼ばれています♪
このアロエは南アフリカ・クワズール・ナタール州からプラマンガ州および隣接するスワジランドが原産!
モザンピーク国境付近からリンポポ州まで連なるレボンボ山脈(聞いたことないでしょ♪ 近くで大昔の人間の痕跡が発見されています!)が主な自生地として知られており、標高180~800mの範囲の低山地帯、草原や岸壁の割れ目やくぼみにたまった浅い土壌に自生しています。
最大の特徴は左右に広がった葉を展開するその株姿!
「スプラフォリアータ(supurafoliata)」はラテン語で「上に葉が多い」!という意味があります。 日本では「大羽錦(オオバネニシキ)」という和名で呼ばれることもあったそうです。
非常に短い茎から生える細長い葉は、古い葉の上に綺麗に積み重なりながら、古い葉は枯れた後も永続的に残り続け、年月を重ねるごとに地層のようになります(なんかスケールが大きくなってきたな!)。
ただし、本を開いたような(・・というか髪を二分けしたような)この左右対称の形は株が若い時の姿で、成熟した株は葉を転回するように伸ばし始め、最終的にはロゼッタ状(放射状)に変化します。
ただそのような姿になるには長い時間がかかり、しばらくはこの左右対称の形を楽しむことが出来ます。
気温が下がり、涼しい季節になると60~100㎝程の花茎を伸ばし、ローズピンクの美しい花を咲かせます。
固形的な鉢のおかげで(髪の毛をイメージしました♪)そちらの方に目が行きがちですが、先ずはこのアロエの面白い形を堪能してください!
ちなみに後ろから見るとこう♪
さて続いてご紹介いたしますのは、
エントリーNo.⑥番「閻魔キリン(エンマキリン Euphorbia esculenta) 、トウダイグサ科」
「そ~こ~で~♪ エンマ君~♬」(今の子は知らん!)
名前の通り迫力のある姿!
真ん中の丸い部分からまるでタコの足のように太くがっちりとした枝を放射状に出します!
このような植物をマニアの間では「タコモノ」!と呼び、人気を博しています。(よく見るとかわいい姿かも♪)
せっかくだからタコ壺のような鉢に植えこんでみました♪(おおっ・・・まさにタコ!)
南アフリカの東ケープ州の開けた平原部の草原地帯や山裾に自生しています(こんなのにいきなり出会ったらびっくりするだろうなあ・・・)
成長すると直径40~50㎝程の大きさに成長します(大ダコ!)
グリーンの枝の表皮は、亀甲状の爬虫類の皮膚のような姿でい覆われ、一段と凄みのある雰囲気を醸し出しています。
ここまで、立派な「閻魔キリン」はそうあるものではありません!本公園一押しの逸品!
この「閻魔キリン」もユーフォルビア属の例にもれず、寒さには弱く、この品評会が終わったら直ちに日の良く当たる暖かい温室へ移動です。
さて続きましてご紹介いたしますのは、
エントリーNo.⑦番「螺旋恐怖閣(ラセンキョウフカク Eulychnia castnea f.‘spiralis‘) 」
まるで、ねじり飴!これでも立派なサボテンの仲間です。
ムチムチした本体の隙間からピンピンと生えた鋭いトゲ!浮き輪のような円盤状のものが重なったその姿は今までのサボテンの常識を覆す非常にユニークな特徴を備えています。
なかなか市場に出回ることはない珍品のサボテン!たまにネット販売されてもあっという間に売り切れてしまいます(そりゃこんな珍品があったらサボテン好きなら一鉢は欲しいですよね♪)
じつはこの「螺旋恐怖閣(ラセンキョウフカク ユーリキニア・カスタネア・スピラリスの呼び方の方が多いもしれません)」!もともとは普通の柱状のサボテンに育つはずだったもの!
「螺旋恐怖閣(ラセンキョウフカク)」のもともとの原種は、本公園第1温室(南アメリカ館)にも展示されている上の写真、「恐怖閣(キョウフカク Eulychnia castnea)」というサボテン(どちらもすごい名前です!)
名前の通り、いかついトゲをしたチリ南部パタゴニア地方に自生している柱サボテンです。じつをいうと「螺旋恐怖閣」以上に流通の少ないサボテンで、この「恐怖閣」こそ、この公園以外では見ることがめったにできない珍品です!(地味ですけどね)
この「恐怖閣」の生長点が突然変異などにより、本来まっすぐ伸びるはずのサボテンが様々な形に変化して成長したものがこの「螺旋恐怖閣」!このような植物を「石化(セッカ)した植物」、または「モンスト個体」とよびます。先ほど紹介した「綴化(テッカ)」と同様、面白い形に育つため、園芸家の間では人気があり、大切にされます。
成長の仕方は複数あるようで、らせん状にねじれるように成長するタイプ!分厚い円盤を重ねるように伸びていくタイプ!ぼこぼこと波打つように成長するタイプ等、いくつかの成長パターンがあるのもこのサボテンの魅力の一つです♪ また、成長パターンが突然、変わってしまうこともあります!
ちなみに上から見るとこう! 本展示種は少し螺旋(らせん)を描いているように見えますが、
円盤を重ねたようにも見え、また横から見ると一部ぼこぼこに波打っているように見えるところもあります(全て兼ね備えた!)
石化した個体のためか、成長は非常に遅く、調子よく育っても1年で2~3節ほどしか成長しません。また、弱ってくると「スリップス」等の虫に取りつかれ、せっかくの美しい色が白く台無しになってしまうことがあります(なかなか管理には気を使います!)
スーパーマリオシリーズに出てくる「サンボ」に似ているとか似ていないとか?(どんなんなんだ?)
こうしてみるとじつに植物離れした(立派な植物ですが)珍品が並んだものだなあ!
生涯を通してもめったに見られない(はずだ)珍品の植物たちに会いにぜひ本公園の「おもしろサボテン品評会」をご覧ください♪(ご投票もよろしく♪)
植物エンターテイメント課 一同
記録:真鍋