ANIMALS & CACTUS BLOG

動物 & サボテンブログ

2025.11.05

さらにご紹介! おもしろサボテン品評会の植物たち!

サボテンと多肉植物を愛する皆さん! 本日も第5温室(メキシコ館)では、おもしろサボテン品評会にエントリーされた植物たちの投票をめぐる熱い戦いが繰り広げられています。(少なそうに見えるけど、幾つかの植物たちは赤いシールの張られた投票台紙がもう数枚目に突入していますよ~!)

そんなわけで今回もエントリーされた植物たちをささやかながらご紹介いたします♪

まずは、エントリーNo.⑥番「阿修羅(アシュラ Agave titanota , Ashura, ) キジカクシ科」

う~ん! すごい名前だ!  名前に負けず葉の縁が火焔光(かえんこう)を彷彿とさせるような太く鋭いトゲに包まれています。肌は青白く、中心から放射状に美しく整った形で太い葉が開きかけた花のように展開しています。なかなか気品を感じる姿!

阿修羅の学名であるアガベ・チタノタ(Agave titanota )は近年になって人気急上昇したアガベの一種。

アガベを育てている人なら一度はあこがれる、アガベ界の最高峰で、一時はすごい高価な値段で取引されていたこともあります(今もお高いですけどね・・・)

もともとはメキシコのオアハカ州に自生している植物なのですが、この阿修羅はインドネシアで誕生した選抜品種になります。(つまり、世界中の多肉植物好きの人たちがこぞって新しい美しい品種を作ろうと必死になっているわけです!  なんとなくバラの園芸品種の世界を思い出しますね)

アガベ・チタノタの中でも阿修羅は、低重心でどっしりとしたフォルムに青白い短めの葉に白く大きな爪が特徴!この爪(鋸歯)は水に濡れると黒っぽい色になるとのことです。 

この爪の第2刺が大きく、下向きの「逆刺」になる特徴があるそうなのですが・・・う~ん、どうかなあ?・・・

この阿修羅もチタノタの例にもれず、人気のある種類で、最近多少流通量が増えてきたけど、いまだに高価な品種です。

今回エントリーされたこの株は、2024年12月に本公園で開催された「アガベ展」(覚えている人いるかな~?・・)の時にこの公園に仲間入りした株です。   その時から葉が5~6枚新たに展開して、格好よく仕上がっています。

葉の両サイドから生えている複数の長いトゲ(鋸歯)をシルエットで見ると、何となく阿修羅像のようにもみえませんか?

阿修羅像といえば興福寺の少年のような阿修羅像が有名! 三面六臂(さんめんろっぴ)の神様で6本の腕を合唱し、あるいは高く上げた姿は確かにこの植物のトゲの部分を彷彿とさせます(・・・かな?)。

いや、どちらかというと京都の三十三間堂に安置されている阿修羅像の方が雰囲気が似ているかな?(興味のある方はぜひ、調べてみてください♪)

阿修羅は八部衆(または二十八部衆)に属する仏教の守護神。古代インドでは生命生気の善神とされています。

その一方で、お釈迦様に諭される前は、帝釈天(たいしゃくてん)と長きに渡って戦った神として有名で、悪鬼扱いされていたこともあり、「修羅場(しゅらば)」、「修羅の巷(しゅらのちまた)」、「阿修羅のごとく奮戦」などという言葉はこの時に生まれたものなのでしょう。マンガでも大抵、戦う者あるいは戦う武器としてよくこの名前が登場します(「修〇の門」とか♪)

この植物も、いかついトゲとその美しい気品を感じる姿からこの阿修羅という名前を付けられたのかもしれませんね。

さてそれでは次にご紹介いたします植物は、

エントリーNo.⑦番「螺旋恐怖閣(ラセンキョウフカク Eulychnia castanea f. ,spiralis, ) 」

う~ん・・・これもある意味すごい名前だ!

「これがサボテン!」、「いや! その前に植物?」と思わせるなんとも不思議な姿をしています。

「螺旋恐怖閣」の名前よりは「ユーリキニア カスタネア スピラリス」という名前でよく登場することがあります。

天使も、このあまりに不思議な植物に頭を悩ませています!(今回ちょっと、演出のためにそばに置いてみました♪)

「誰ですか! う〇こみたいっ!なんて言っている人は! 」

ムチムチした円盤の隙間から、ピンピンと生えた黄色いトゲが飛び出しています。

まるでねじり飴のような姿です!

このサボテンにはいくつかの成長パターンがあり、円盤が重なったような姿、ねじり飴のようにらせん状になった姿(だから螺旋(らせん)恐怖閣というのですね!)、あるいは波のようにボコボコと成長する姿があります。三つのパターンを全て併せ持っていることもあったり、また突然成長パターンが変わることもあります。

とにかく!普通のサボテンではありません!

なかなか市場に出回らず、たまに出てもすぐに売り切れてしまう手に入りにくい珍種です。

この螺旋恐怖閣!もとは「恐怖閣(きょうふかく Eulychnia castanea )」という名前のチリ南部、パタゴニア地方に自生している柱状のサボテンです。

上の写真がその「恐怖閣」!名前の通りすごいトゲをしているけど、ごく普通のよく見るサボテンの姿でしょう。   第1温室の南アメリカ館で見ることが出来ますよ♪

それがまたなんでこんなユニークな姿になっちゃったのか?

それは、本来まっすぐ伸びるためのこのサボテンの生長点が、突然変異などにより様々な形に変化する石化(セッカ)を起こしたため(「竜神木 綴化 矮性」の所でも出てきましたよね♪)。       このような植物を「モンスト個体」といいます。

珍しい形に育つため、園芸家の人たちはこの「モンスト個体」の植物をとても大切に育てます。

でも、この「恐怖閣」については、少し事情が違います!

この原種の「恐怖閣」こそ、石化した「螺旋恐怖閣」以上に手に入りにくい個体で、今やどこを探してもこの「恐怖閣」を手にれることはほぼ不可能の状態になっています!(くどいようだけど、うちの公園の第1温室(南アメリカ館)でだけは見ることが出来ますよ♪)

とはいうものの、割と成長の早い原種の「恐怖閣」に比べて、この「螺旋恐怖閣」は成長が非常に遅く、調子よく育っても1年で2~3節ほどしか成長しません。また弱ってくると「スリップス」等の虫に取りつかれ、美しい緑の体が白く台無しになることもあり、管理にはなかなか気を遣う世話のかかるサボテンです。

その厄介な点を含んでも、あまりある程の魅力を持ったサボテンでもありますが♪

さて次にご紹介いたしますのは、

エントリーNo.⑧番「精巧丸(セイコウマル Pelecyphora aselliformis ) 」

これはまた! 宝石のように美しいサボテンではありませんか♪

「んっ?・・・でもこのサボテン! なんかトゲがずいぶん変わっているような・・・?」

精巧丸は、メキシコが故郷のサボテン! 標高1800m前後のサンルイスポトシ州の礫(れき)混じりの荒れた平原の土の中や灌木の下に自生しています。

もっとも特徴的なのは、このサボテンらしからぬ櫛状(くしじょう)のトゲ!ちょつとみるとワラジムシのように見えます。

ちなみにこのサボテンの種名「アセルフォルミス aselliformis 」とはそのものズバリ!「ワラジムシ」という意味です(みんなこのサボテンのトゲを見て、同じ印象を持ったんだなあ・・・)。

またこのサボテンの属名「ペレキフォラ Pelechyphora 」はギリシャ語の「pelekys(斧・おの)」+「phoros(身にまとった)」の合成語で「斧を身にまとったもの」という意味があります。そのためこのサボテンは「ハチェット(斧)サボテン」!と呼ばれることもあります。

「んっ?」しかしこの姿のどこが斧なのでしょう?(やっぱり ワラジムシ)

トゲが左右対称の斧に見えるのか? それとも斧で切った切り口のように見えるのか?

精巧丸は成長が遅く、また大人になってもあまり大きくならない小型のサボテンです。

このエントリーされた精巧丸も実際の大きさは、5㎝くらいしかありません。この小さくてかわいいところが人気を博し、今品評会でもなかなかの人気です♪(白い石のおかげでよく目立ちますな♬)

ここでは全体の姿を見ることが出来ますが、自生地のメキシコでは上部の数cmだけを地上に出し、後はほとんど球体は地面に埋もれて生活しています。そのためちょっとこのサボテンを見ると、トゲの部分だけが見えて、まるでワラジムシがたくさん集まっているように見えます(うげげっ!・・)。

草食動物に見つからないようにカムフラージュしているのかもしれませんが、今度は虫を狙う鳥などに間違えて襲われてしまいそうな気がするのですが・・・?

なんでこんなトゲになっているのか不思議なところです。

この精巧丸、頑丈なサボテンとは言われていますが、赤ダニなどが付きやすく、ちょっと油断をしているといつの間にか弱ってダメになってしまうということがよくあり、なかなか気を遣うサボテンです。

でも大切に育ててあげると、春頃、とてもきれいな濃いピンクの花を咲かせてくれます♪

名前もまた神秘的な不思議で綺麗な植物たちに会いにぜひ、おもしろサボテン品評会を見に来てみてください。(ご投票もよろしく♪ )

植物エンターテイメント課 一同

記録:真鍋

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