ANIMALS & CACTUS BLOG
動物 & サボテンブログサボテン 2023.11.05
おもしろサボテン品評会!絶賛開催中♪
サボテンと多肉植物を愛する皆さん!
秋を満喫していますか?ますます盛り上がっている(はずだ)伊豆シャボテン動物公園の「おもしろサボテン品評会、今回も張り切ってエントリーされた植物をご紹介しましょう♪
先ずはエントリーNo.④番「白雲(ハクウン Melocactus sp )
この品評会では、度々お目にかかる頭にトルコ帽子のようなふわふわしたものをかぶったメロカクタスの仲間! 中米から南米に生えるサボテンです。
寒さに弱いのが玉に傷で、冬は暖房を効かせたうんと暖かくて日の当たる場所に春まで置かなくてはなりません。
昔は日本にたくさん入ってきたようですが、この弱点が災いして「マタンザヌス」のような一部のメロカクタスを除くと立派な帽子(?)をつけたメロカクタスはなかなかお目にかかれなくなっています。
「おもしろサボテン品評会」のような特別な時にのみ展示できるレアものです。
またこの、メロカクタスは比較的、波のかぶるような海岸沿いに生えることも多く、そのためか、コロンブスがアメリカ大陸へ第2次探検を行った頃(1,493年)、ヨーロッパに最初に持ち帰られたサボテンの一種といわれています♪
このメロカクタスは、子供の頃は普通の丸いサボテンですが成長すると頭に帽子のようなふわふわとした部分が出来、そこから花を咲かせる特徴があります。
このふわふわした部分は花座(ハナザ セファリウムと呼ばれることもあります。)と呼ばれ、花を保護する役目があるのではないかと考えられます。
この白雲が変わっているのは、普通花座はそれこそトルコ帽子のように赤い色をしているのですが、この白雲は名前の通り、この花座が真っ白な色をしている所です!
ほ~ら、頭の部分を大きくして見てください。なんと!普通は赤い色かピンクであるはずの実の部分までミルクのような真っ白な色をしています。
それでなくても個性的なメロカクタスの中でも、他では見られない珍品中の珍品なのです!
このメロカクタスの仲間は、この頭の上のモクモクとした花座の部分を雲に例えて、日本では大抵、「~雲」というなまえをあたえられていますが、この白雲はまさに高い山の上の君臨する白い雲を思わせます(レンズ雲?)。
ふつうは赤いはずの花座の周りの柔らかいトゲも白い花座を引き立たせるように黄色い色をしていて、まるで雲から発する稲妻のようにも見えます!
こんな、素晴らしい「白雲」ですが、残念ながら手に入った時から学名が記入されておらず、正確な種名が未だに判明しておりません。(どの文献にも載っていないんだよ~~~!)
このまがまがしいまでに白くて太いトゲも個性的なんですが、どのメロカクタスとも似ていない!
あえて言えば、華雲(カウン Melocactus perbianus)か涼雲(リョウウン Melocactus bahiensis)に似ているようなのですが・・・
ひょっとして、このどちらかの種の「白棘選抜個体」というやつか?
個性的なメロカクタスの中でも、特にミステリアスな魅力を秘めたこの「白雲」!もっと皆様に知っていただきたいものです。
さて次にご紹介いたしますのは、エントリーNo.⑤番「ジグザグノキ(Decarya madagasucariensis 、ディデイエレア科)
さ~て、出ました!「珍植物オブ珍植物」!!
マダガスカル島だけに生える1属1種のどこまでもジグザグとした枝が伸びていく、インパクトNo.1の多肉植物です。本種は実生、つまり種からここまで育った植物(手に入れた時はもうだいぶ成長していましたが)。
まるで稲妻を固定したようなこの形は、この植物が枝の節で120度程度方向転換しながら伸びていくという不思議な性質のため!そのため結果的にジグザグという形を繰り返していく事になります。
根元の部分は割とまっすぐな姿をしていますが、上の方になるとジグザグとした形になります。また枝の節には2対の鋭いトゲが出ています。
自生地を見てみないとわからないことですが、おそらくこの植物の生えるマダガスカルの野生の状態では大きな木に絡みつくように生えていて木に絡みつきやすいようにジグザグとした姿をしているのではないかと想像されます。
ちなみに「ジグザグ」という言葉は意外にもフランス語が語源で「歯」を意味する「zag」を重複させた「鋸の歯」が由来となっています。うん!確かに鋸の歯のようにジグザグです。
ジグザグの部分を一段と目立たせているのが、木の葉がない枯れ枝のような姿!
成長期には、ごく小さな葉を一時的につけるのだけれども、すぐに落葉してしまいます。
ほ~ら!この写真!先端の枝の部分にわずかに赤い小さな葉が残っているのが見えますか?これもすぐ落ちてしまいます。
おそらく雨の少ない土地で、水分を奪われないように葉がすぐ落ちるものと考えられます。
成長期は、日本では春から秋にかけて。土が乾いたらたっぷりと水をやり、日当たりのよい暖かい所で育てます。
寒さには比較的弱いので、冬は最低気温を10℃以上に保っておくようにしなくてはなりません。この子も展示が終わったらすぐ、暖かい温室へ移動だよ~ん!(従って冬は0度以下になるうちの第4温室(マダガスカル館)には常設展示できません(涙))
日本ではほとんど市場に出回ることがないためか、未だに謎の多い植物で、本株も未だに花をつけたところを見たことがなく、いつ咲くのか、どのくらいの大きさの花が咲くのかわかりません。最近になって、どうやら黄色いロウバイを思わせるような姿をした花を咲かせることがわかってきました。日本で、その花を実際に見たという人はまずいないでしょう。
ちなみに「ジグザグノキ」のようなディディエレア科の植物は全て雌雄異株といわれています。おそらく雄株と雌株で花の形が違うことでしょう。さてうちの「ジグザグノキ」は果たして男の子なのか女の子なのか?
知れば知るほど謎の深まる植物です。
さて次に紹介いたします植物は、エントリーNo.⑥番「マハラジャ(Euhorbia lactea 、トウダイグサ科)
う~ん!こいつはまた「珍植物」の名に恥じない個性的な奴!
「マハラジャ」といえば1980~90年代にバブル景気の日本をにぎやかせた高級ディスコ!ファッションチェックをし、男同士の入店を拒否し(今なら世間に怒られそうですね)、お立ち台で女の子が躍ったあの光景を思い出します。あの頃が私の青春時代だった(行ったことないけど!)
この植物!その時に女の子が振っていたあの扇子を思い出すではありませんか!(ん!・・ありゃジュリアナか?・・・)
この「マハラジャ」はその名の通り、インドが故郷。「マハラジャ」という言葉は「大王」という意味があります。ちなみにこの「マハラジャ」の中には「キングマハラジャ」なるものも存在しているということでさしずめ「大王の中の大王!」という所でしょうか?
また日本名では写真の通り、縁の赤い部分を意味してか「夕焼けサンゴ」なる愛らしい名前でも呼ばれています。
ところで、この「マハラジャ」!本体の部分は上のひらひらした部分で、下の扇子の柄のような部分は(とげが生えてますが・・・)、キリン角(Euphorbia neriiforia)という全く別の植物!「マハラジャ」本体(つまり上のひらひらした部分)は突然変異によるアルビノ化で葉緑素がほとんどなくそのままでは生きていくことが出来ないため下のキリン角から栄養をもらって生きています。このような植物の育て方を「接ぎ木」と言いまして園芸家の間でよく行われている方法です。
「マハラジャ」本体は本来、柱状にまっすぐのびる「ラクテア(Euhorbia lactea )」という植物が、突然変異によって「点」状に伸びるはずの生長点が「線」状に変化して結果的植物が「帯(おび)状」に伸びる「綴化(テッカ)」という現象を起こしこのようなひらひらとした形になったものです。(ああ自分で説明してもややこしい!)
この「マハラジャ」は正確な学名でいえば「綴化(テッカ)」を起こしたもの→Euhorbia lactea cv. cristata と呼ぶほうが正しいかもしれません。
「綴化(テッカ)」は突然変異等によって引き起こされるため、その植物一本一本によって形の変化は様々で、この世に同じものは2つとありません。つまり今回展示しているこの「マハラジャ」は一品物といってよいでしょう。
ところでこの「マハラジャ」!「綴化(テッカ)」はそのままですが、じつは見ての通り一部が元の緑色に戻っており、白と緑の一段と個性的な色合いになっています。
先祖がえりをしたのか?、一部のアルビノ化が解けたのか?まあ、「マハラジャ」本来の姿としては残念な姿になったのかもしれませんが、これはこれで今後の成長を楽しみに見てみたい所ではあります。(このゆるさがおもしろサボテン品評会♪)
そうそう!この「マハラジャ」の花言葉は「明るく照らして」!いかにもこの植物にふさわしい言葉ではありますが、同時に「地味」、「控えめ」という意外な花言葉も合わせ持っています。(ユーフォルビアの仲間は、姿に似ず、花はとても地味なのです。)
この子もユーフォルビアの仲間の例にもれず、寒さに比較的弱くて冬は日当たりのよう暖かい所で過ごさせてあげる必要があります。
またこの植物を傷つけると体から白い乳液のようなものが出て、それに触れるとかぶれてしまうので扱いには要注意!(すぐ洗うか、手袋をつけて触ればよいのですけどね。目に液体が入らないように気を付けて!)
さてそんなわけで今回最後にご紹介いたしますのは、エントリーNo.⑦番「白鳥・綴化(ハクチョウ・テッカ Mammillaria herrerae f.crisut)
さすがは、「おもしろサボテン品評会」!個性的な植物たちが揃っています♪
一見「脳みそ」!「ブレイン カクタス(BRAIN CACTUS)」という名前で売られていることもあります(形や色、種類は様々ですが)。
本来の「白鳥(ハクチョウ Mammillalia herrerae)」は上の写真のような名前の通り、白くてまん丸いかわいらしい姿をしたサボテン♡(どちらかというと白鳥の卵?)
メキシコ・ケレタロ州が故郷です。触っても痛くないフェルトのような手触りのトゲで前進が覆われています。
花もマミラリア属のサボテンにしては珍しい大きな花を春に咲かせます(色は濃いピンク♡)。
やや腐りやすくて育てにくいのが玉に傷!
それがどおしてこんな姿になったのでしょおおおお~~~!(うう…アップで見るとじつにインパクトのある姿!・・)
この子もさっきの「マハラジャ」と同じく、「綴化(テッカ)」を起こした植物!(白い姿はもともとですけどね)。
本来丸く育つはずの生長点が突然変異により、「帯(おび)状」に広がったため、こういった脳みそのように育ったものです。(このサボテンよく見ると、線状の帯(おび)を折りたたんだ姿に見えませんか?)
この「綴化(テッカ)」!植物の間ではちょくちょく起こっていて非常に珍しい形に育つため、人気があり、園芸家の間では大切にされます。
この子も本来の白鳥のトゲと同じく、白くて痛く無いトゲでおおわれていて、アップで見ると(ううっ・・・)横に広がったサボテンのトゲが本体が見えなくなるほど、密生しているのがわかります(何となく鳥の羽を思い出しますね)。
どう見ても脳みそですが、意外とほかの形にも見えるらしく、今までのお客様からは「ソフトクリームみたい!」、「白ヘビがのっているみたい」と言われたこともあります。
先述の通り、「綴化(テッカ)」は突然変異等によって引き起こされるため、その植物一本一本によって形の変化は様々で、この世に同じものは2つとありません。従ってこの「白鳥・綴化」もこの世に2つとはない一品物です。
実は、今回は2つの違い、同じところをよく観察してもらうため普通の「白鳥」と「白鳥・綴化」を仲良く2つ並べています♪
よかったらよ~く見て観察してみてくださいね♪
この「白鳥・綴化」も「白鳥」同様、腐りやすく(腐った脳みそ!)、水のあげ方、通気の確保に気を付けて育てなくてはなりません(この手間がまた魅力♪)
この世に2つとない一品物がどんどん並ぶ「おもしろサボテン品評会」!ご来園の際はぜひ心を惹かれたサボテンに御投票下さい!
植物エンターテイメント課 一同
記録:真鍋