ANIMALS & CACTUS BLOG
動物 & サボテンブログサボテン 2025.11.04
おもしろサボテン品評会♪ 面白いですよ~♪

伊豆シャボテン動物公園の秋も深まって参りました。
サボテンと多肉植物を愛する皆さん!ここ、ピラミッド型の第5温室(メキシコ館)では、今「栄えあるサボテン」の座を巡って、サボテン・多肉植物たちの熱き戦いが繰り広げられています!(プロレス中継みたいだな…)
今回もそんな品評会にエントリーしている、世にも珍奇な植物たちをご紹介いたしましょう!
まずは、エントリーNo.④番「セロペギア シミシオドラ(Ceropegia cimiciodora ) ガガイモ科(キョウチクトウ科)」

「誰ですか! 枯れた植物の根っこなんか展示したのは!」
いいえ!この植物こそ今品評会の中でも最大の珍品! 「セロペギア シミシオドラ (キミキオドラなんて呼ばれることもあるかな)」! 枯れた根っこのようですが、これでも立派に生きているガガイモ科の多肉植物です。
よほど多肉植物をたくさん扱っている業者以外では、市場に出回ることなんてほとんどない、知る人ぞ知る珍植物オブ珍植物!
故郷は南アフリカ。
ガガイモ科は今はキョウチクトウ科にまとめられていますが、ここではあえて古い呼び名のガガイモ科で紹介させていただきます。

というのも、数ある植物の中でもこのガガイモ科の多肉植物は珍品ぞろいの個性派メンバー、特にその花は独特で非常に面白い形をした花を咲かせることで有名です。
また植物の形も面白く、一見するとサボテンのような姿をしたものも多くあります。

セロペギアはその中でもアフリカをはじめ、カナリア諸島や南アジア、オーストラリアなどに200種類が自生している多肉植物。その多くは多少降水のある半乾燥地帯で育っています。
ハート♡の形をした葉っぱとして人気のある「ハートカズラ(Ceropegia woodii )もセロペギアの仲間です。

その中でもこのセロペギア・シミシオドラはつる性のセロペギアで、棒のような茎がどこまでも伸びていき、成長すると数メートルの長さにもなるそうです。他の植物の足元などに這うように生えているようです(怖っ!)。
茎はグレーの白っぽいまだら模様が入り、ちょっと見ると不気味な雰囲気です。(そこがまた、マニア心をくすぐる♪) 日当たり次第で茎の色合いが変わるそうです。

成長とともに、株本から気根のような根が出てきます。(これはまだかな?)

ほとんど茎だけの姿ですが、じつはとても小さな三角形の葉をつけます。
ほ~ら上の写真を見てください!真ん中辺に赤っぽいとても小さな三角形の葉が出ているのがわかりますか? ほれほれ!その一番下の白っぽい茎の上の部分に赤っぽい先がとがった小さな葉がちょっとだけ!(わかるかなあ?・・・)
ガガイモ科の植物の例にもれずこのセロペギア・シミシオドラの花もとても変わっています。
まだこの株では確認していませんが、うすい黄色~茶色の星☆のような形をした(というかヒトデのような形をした)花が咲きます。なんとも変わった花で、花弁のふちにガガイモ科特有の産毛のようなかがついています(言葉で説明するのは難しい! 気になった方はぜひ「セロペギア シミシオドラ(キミキオドラ)で検索を!)

アフリカの雰囲気に合わせてみて、シマウマなんか置いてみました♪
さて、次にご紹介いたします植物は、
エントリーNo.⑤番「竜神木 綴化 矮性(リュウジンボク テッカ ワイセイ Myrtillocactus geometorizans f. crist)」


「空にそびえる黒鉄(くろがね)の城」か? はたまた「非常に険しい岩の峰」か?
およそ植物の一種とは思えない、異様に凹凸の激しいの迫力ある姿で私たちの目に迫ります。

じつは本来はこんな形♪(・・・・)

この竜神木はメキシコの北中部からオアハカ州などの広範囲に自生している柱状のサボテン。標高1000~2000mの高地に生えています。
短いトゲと白い粉砂糖をまぶしたようなうすい緑色のようなあるいは水色のような青い肌が特徴的で高さは4.5mほどにもなります。
いささか寒さに弱い点はあるものの、大変丈夫で成長が早いことなどから、他のサボテンの接ぎ木の台木としてよく使用されます。
春ごろに白っぽい花が咲き、その後、甘い赤色の果実が出来ます。 この果実はメキシコでは食用とされることもあります♪

そんな竜神木が、なぜこのような湧き上がる入道雲のような姿になったのか・
実はこの竜神木は綴化(テッカ)といって、本来まっすぐ柱状に伸びていく成長点が突然変異などにより、一点でなく帯状に変化したことにより形が変化したもの。
サボテンにはまれに起こる現象で、綴化(テッカ)した植物は帯状に広がる成長を見せます。学名では「cristata クリスタータ」と呼ばれます。

この竜神木には本来の柱状の姿をした部分もあります。この上の写真のように柱状になっているのが普通の竜神木!

そしてこれが綴化(テッカ)した姿。竜神木が帯状に横に広がっているのがわかります。

ちなみに生長点が帯状ではなく、ランダムにあちこちに発生し、通常の姿とは逸脱した岩みたいな形になることを石化(セッカ)といいます。学名では「monnsutrous モンストロウス」。この株は石化も入っているように見えます。
綴化(テッカ)したサボテンは通常の形とかけ離れた非常に特異な形に成長します。またサボテンによって綴化(テッカ)によって現れた姿はそれぞれ異なり、このサボテンを含め、世界にこれしか存在しない、一品物の植物となります。
この竜神木はさらに矮性(わいせい)といって、通常の姿より、小さな形の性質を持っています。つまり、世界中のどこを探してもこんな竜神木は他に存在しない非常にかけがえのない姿なのです。(自分で言ってて、すごいっ!)
ちなみに「竜神」とは竜の神様!「竜王」、「竜宮様」とも呼ばれ、雨、水を司るといわれています。漁師の方は海神として信仰することが多いようです。雨のほとんど降らない砂漠に生きるこのサボテンが水を司る神様の名前を受け継いでいるというのは不思議な縁を感じます(竜神木の体の中も他のサボテンと同じく水や養分がたっぷりと含まれていますよ~♪)
不思議で珍奇な植物たちに会いにぜひ、おもしろサボテン品評会を訪ねてきてください(くどいようですが、投票もよろしく♪)
植物エンターテイメント課 一同
記録:真鍋




