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動物 & サボテンブログ

サボテン 2024.10.27

第11回おもしろサボテン品評会! 絶賛開催中!(のはずだ!)

サボテンと多肉植物を愛する皆さん!

今、伊豆シャボテン動物公園、第5温室(メキシコ館)では、芸術の秋にちなみ恒例の「第11回おもしろサボテン品評会」が開催されております(バーン!・・)。

たぐいまれなる姿をしていながら、寒さに弱くて冬は展示温室に置けなかったり、小さすぎたり、育て方にデリケートな扱いが必要だったり、あるいは姿形がユニークすぎて常設展示できない本公園のいわゆる秘蔵のサボテン・多肉植物を一堂に集め、芸術の秋にちなんでこれを皆様のもとに展示して鑑賞していただきます。

その中でも皆様の心をもっともとらえることの出来た「栄えあるサボテン!」を皆様のご投票で選んでいただこうというこの企画!

ついに、ついに!11回目を迎えることが出来ました!(パンパカ パーン♪)

(そういえば我が国の選挙も真っ最中でしたな・・・)

今回も生え抜きのサボテン・多肉植物たちがエントリーいたしました。ささやかながらこのホームページにて今回の愛すべき植物たちを紹介してまいりたいと思います♪

先ずはエントリーNo.①番「きのこ金鯱(キンシャチ  Echinocactus grusonii )」

ど~です!この個性的な姿!   まさにきのこ!

「きのこ金鯱」なんて金鯱、もちろんありません!これはこの子の個性的な姿からのネーミング!

頭の上は丸く大きく膨らんでいるのに、下の方はまるで柱サボテンのように長細く伸び切っています。この大きさなら30年以上は生きているはずでしょう。

実はこのサボテン、おそらく成長の途中で寒さにあったか、何らかの理由で根が傷んで一回成長が鈍くなり細長く成長してしまったものです。

その後環境が良くなり、まさに「七転び八起き」のだるまのごとく再び成長を再開させ、頭の部分が大きく膨らんだ結果!このような形になったものです。

このセリフ、この品評会に参加していた方ならどこかで聞き覚えがありますよね♪

そう!去年、登場した「雪だるま金鯱」と同じ!

どちらも一回成長が止まり、死にかけたものが見事な復活を果たし、このような個性的な形に育ったものです。

「おどれのところには、まともな金鯱がないんかい!」と怒られそうですが(まともな形の金鯱もたくさんあるのですよ・・・念のため・・・)

このサボテンたちも大切に育てれば、いずれはどこに出しても恥ずかしくない少し面白い形のサボテンたちに育っていくはずです(初代「ダルマ金鯱」が今そんな形になっています♡)

とにかくこの金鯱というサボテン自体、長い付き合いですがおもしろいサボテンです!

種から生まれたばかりの時は、マッチ棒の先のようなホントに小さなサボテン!(少し赤みがかっているのがこの金鯱の子供の特徴です♪)

それが、植え替えをまめに行い(1年に1~2回)、明るいところで育て、大切に育ててあげれば長い時間をかけて少しずつ大きくなっていきます。

寿命30年などといわれることもありますが、本公園では170年は生きているであろうという金鯱が今も元気に育っています。その大きさになると高さ1メートル以上、重さ200㎏以上にもなります。

とにかく、頑丈なサボテン! 

今まで育ててきた経験からいえば、大きな株なら半分に切ろうが、根本の大部分を腐らせようが切り口をうまく乾かして植え込めばまた復活して成長します(こらあ~!)

ただし寒さには強くありません。日本の冬で雪や霜を浴びてしまうような外に置いておくと、ひどく傷みそのまま外で育て続ければ100%、死にます。

また日の光が足りないと徒長して細長い姿になってしまう植物ですが、いきなり強光線に当てると日焼けして傷んでしまいます。割とデリケートなところもあるサボテンです。

故郷はメキシコ中部のイダルゴ・ケレタロ州。標高1000m位の岸壁の割れ目などに生えています。

世界中で育てられているサボテンですが、意外にも故郷のメキシコではダム開発などにより生息地が失われ絶滅寸前!(IUCN レッドリストの「絶滅危惧類IA類」に指定されています)

最近になって新しく生えている場所(コロニー)が発見されたそうですが、自生地保護のため今も詳しい場所は公表されていません

何とか「七転び八起き」のダルマのように自生地の金鯱もうまく生き残ってほしいものです。

数奇な運命をたどりながらもしっかり根を張って生きているこの金鯱に清き1票を!

さて続きましてご紹介いたしますのは、

エントリーNo.②番「鯱頭(シャチガシラ  Echinocactus grusonii )」

「美しい!」

体全体を赤や黄色の鮮やかな太いトゲが覆っています。まるで今、砂漠に沈もうとしている夕陽を見ているようです。

鯱頭(シャチガシラ)はアメリカ南西部からメキシコに生えているサボテン!岩の多い斜面を好んで生えるといわれています。

出てまだ間もないトゲは燃えるような鮮やかな色をしています。鯱頭の場合、トゲの色は黄から赤と変化が多いといわれています。

トゲが長く鋭いので、サボテンの中では「強刺類(きょうしるい)」といわれています。

また、外観がタルに似ている事から「バレルカクタス」ともいわれています。この体の中にはまさにタルのように水や養分がたっぷりと含まれていて水を含んだスポンジのようになっています。

古くなった下のトゲは灰褐色の色となり渋く落ち着いた感じ!

先がかぎ爪のように少し曲がるのがこのフェロカクタス属のサボテンによくみられる特徴です。

なんといっても今回エントリーされたこの鯱頭の素晴らしいのはこの鮮やかなトゲ!

日本でこの鮮やかな色を維持するのはとても大変で、たいていの場合、1年もたつと湿気や光線不足などによりこのトゲの色は色あせ、くすんだ色になってしまい、下手すりゃカビが生えてみるも無残な姿にってしまいます。

いやそれどころか、この鯱頭は本体も気難しく、頭の部分が茶色く変色して成長が止まり、死にもしなければ成長もしないといういじけた姿になりがちです。(何度このサボテンの仲間には泣かされてきたことか・・・)

「しか~し!」

今回は違う!本公園の中でも最も日の光が強く当たる温室(ほかのサボテンでは下手すりゃ日焼けして死ぬような日差しが照りつける温室です!)で通気が通るように気を使いながら育てた結果、見事に鮮やかなトゲをこの展示会まで維持してくれました♪

この大きさでこれほど鮮やかなトゲを維持している鯱頭は、そうみられるものではありません!(えっへん!)

鮮やかな色のトゲが幸いし、今品評会でも人気急上昇の逸品です!

ちなみにこちらは、今この公園で種から育てている鯱頭のまだ小さい子供♪

この子ももうしばらくたったら、よく日の当たる温室で厳しくも大切に育てる予定です♪

ちなみにこの鯱頭!自生地では太陽に向かって傾く性質があるため、このサボテンが生えている様子を旅人などが見ると、方角がわかるということで「コンパスプラント」と呼ばれることもあります。自生地の太陽にさらされながら鮮やかな赤や黄色のトゲで道を示す野生の鯱頭、いつか見てみたいものです。

さ~て続きましては、

エントリーNo.③番「太短刺 象牙丸(フトタンシ ゾウゲマル  Coryphantha elephantidens )」

「おお!・・ありがたい・・・」まるで仏様の頭のような姿をしたサボテンではありませんか!

「象牙丸(ゾウゲマル)」は、メキシコ・ミチョアカン州が故郷の丸いサボテン!濃いグリーンの膨らんだボディに名前の通り象牙を思わせる色をしたトゲを付けます。

この「象牙丸」にはいろいろなタイプがあり、中には本種のようにうんとトゲが短く愛らしい姿をしたものが生まれることもあり、これを「短刺 象牙丸(タンシ ゾウゲマル」と呼びます。本種はさらにとげが太いため「太短刺 象牙丸(フトタンシ ゾウゲマル)」と呼ばれるようです。

体は、普通のサボテンにみられるように縦の線が入ったような姿(稜・りょう)ではなく一つ一つが膨らんだ突起(とっき)になっていて、まるで仏様のパンチパーマのようです(えっ!違う・・)

今回、出展しているこの子は意外と大きく、高さ20cm以上!ちょっとした人の頭くらいあります!ここまで大きな「象牙丸」はそうそう見ることの出来るものではありません!

下の方に小さな子株が出てきておりますね♪

このサボテンは渋い外観とは別に非常に美しい花を咲かせることで知られております。

実はこの品評会が始まる前、資料用としてこの象牙丸を撮影したのですが(9月26日です)、

その時は頭の上にこのような愛らしいピンクの花を咲かせていました♪

「このサボテン!花が咲いてないと地味で人気出ないんだろうな。」などとスタッフ同士で下馬評を作っていたところ、品評会の途中で頭の上に再びこのようにつぼみをつけまして!

なんと!見事に品評会期間中に見事なピンクの花を咲かせてしまったのです!(なんてタイムリー♪)

こうしてみるとますます、仏様の乗るハスの花を思わせるではありませんか!

せっかくだからアップで!

「象牙丸」の頂部は綿のような毛でおおわれ、花はその付近に咲きます。まだツボミが幾つかついていたからこれからたびたび咲くかもしれません!(こうご期待♪)

「象牙丸」は頑丈なサボテンなのでサボテンの初心者の方でもお勧めできるサボテンではありますが(ここまで立派なのはそうありませんが)、ダニがついて色が悪くなることが度々ありますので育てるにはよく観察することが大切です。

さてさて、それでは次に紹介いたします植物は、

エントリーNo.④番「朗雲(ロウウン  Melocactus lobelii )」

出ました♪ 「おもしろサボテン品評会」名物? 赤い帽子をかぶったメロカクタス属のサボテン!

この朗雲(ロウウン)は、ベネズエラのカリブ海に浮かぶマルガリタ島という島が故郷のサボテン。

頭の上にはまるでトルコ帽子を思わせる花座(ハナザ  セファリゥムとも言います)という花を守るための綿のような部分があります。

この花座からは星のような姿をしたピンク色の小さいけれども鮮やかな花が咲きます♪

じつは、9月26日に一回、この朗雲、花を咲かせているのですが♡ その時の状態が下の写真♪

ちょっとわかりにくいけど赤い花座の上に小さなピンクの花が咲いているのが見えますか♪

ちなみにこのメロカクタス属のサボテン、頭の上にそびえたつ雲を思わせる花座をつけるため、和名(日本名)ではたいてい「~雲」と雲の名前が付きます。この子もそれにたがわず名前が「朗雲(ロウウン)」!

ちなみに下の方はこう!結構鋭いトゲが生えています。

このサボテン、メロカクタス属は、比較的海に近いところに生えていることが多く、そのため、アメリカ大陸を発見したヨーロッパ人たちが最初にヨーロッパに持ち帰ったサボテン!と言われています。そりゃ初めてこんな形をした植物を見たら、驚いて持ち帰りたくなりますよね。

実は、今まで「おもしろサボテン品評会」の中に出てきたメロカクタス属の中では今回の「朗雲」は最も大きな株で、その高さは30㎝もあります(トルコ帽子が小さく見える!)  ここまで立派な大きさのメロカクタスはそう、あるものではありません!

と、いうのもこのメロカクタス属、寒さにはめっぽう弱く、頑丈なサボテンの中では例外的に冬に人工的に加温してあげないと日本の冬を越すことはほぼできないのです。

かつては多くのメロカクタスが日本に導入されたのですが、この寒さに弱い性質が災いして、いま一部(マタンザンスというメロカクタスだよ~ン♪)を除いて立派な花座をつけたメロカクタスを見ることはそうできません。

この「朗雲」も例外にもれず寒さに弱く、「おもしろサボテン品評会」が終わったらすぐに暖かく日の当たる部屋へ移し替えです♪(つまり今しか見ることはできません!)

珍しいサボテン・多肉植物たちを見にぜひ、シャボテン動物公園の「おもしろサボテン品評会」をご覧になってくださいね♪(投票もよろしくお願いいたします!)

(まだまだ紹介は続きますよ~)

植物エンターテイメント課 一同

記録:真鍋

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