ANIMALS & CACTUS BLOG

動物 & サボテンブログ

サボテン 2023.11.13

さあ!大詰めだ!おもしろサボテン品評会♪

サボテンと多肉植物を愛する皆さん!

急に寒くなりましたな!伊豆シャボテン動物公園では秋空のもと、寒さに負けじとおもしろサボテン品評会の植物達が美しい姿を見せています(もちろん温室の他のサボテン達も)

この品評会もいよいよ大詰め(11/26まで♪)!今回ノミネートされた植物達の残りメンバーもご紹介させていただきましょう!

先ずはエントリーナンバー⑧番「大型宝剣 (オオガタホウケン Opuntia ficus-indica)」

「まあ! 愛らしい♪」、ハートの形をしたサボテンです。

大型宝剣は本来、上の写真のようなしゃもじ型の形をしたウチワサボテン。古くから食用として食べられていたサボテンです。

大型宝剣のようなウチワサボテンは緑の部分は野菜(ノパールまたはノパリート)として、実の部分はフルーツ(トゥナ)として食べることの出来るものが何種類かあります(全てのウチワサボテンが食べることが出来るという訳ではないようですが)。

特にこの大型宝剣の実は絶品♪私も以前に食べたことがありますが「まるで桃とバナナを合わせたような不思議な甘みとジューシィな果実♡」でとてもおいしかったのを覚えています(トゲのある皮をむくのが一苦労ですが・・・)外国では「Pricly pears(トゲのある梨)」と呼ばれることもあります。

また、雨の降らない乾燥地でもやせた土地でもドンドン大きくなり、肥料もたいしていらずで、病気にも強い! 家畜の飼料としても非常に有効♪

ということで、ウチワサボテンの仲間は2017年、国連食糧農業機関(FAO)から「食糧危機を救う食品となりえる!」とも言われています。(すげ!・・・)

そんな植物のためか、この大型宝剣はじつは世界中で栽培されており、イタリアでもシチリアなどで栽培されています(同時に世界中で野生化しており問題にもなっているようですが・・・)。

私は、中国とベトナムの国境付近に植物調査に行った時、ホーチミン鉄道沿いにこの大型宝剣が生えていたのを見たことがあります。

ただ、この大型宝剣の自生地は意外とはっきりしておらず、文献には「新大陸、至る所に有り」などと書かれています。おそらく熱帯アメリカの乾燥地のいずれかが故郷なのでしょう。

日本に最も古くから入ってきたのもこの大型宝剣の仲間で、静岡県清水の龍華寺というお寺には300年も経った天然記念物の大型宝剣があります。

この大型宝剣の仲間に竜華宝剣(Opuntia maxima)というよく似たウチワサボテンがあります。大型宝剣の花色は黄色で、竜華宝剣の花色はオレンジとの事ですが、両者は同じようにみられることもあり、もうひとつ区別がはっきりしていません。

前置きが長くなりましたが、今回ノミネートされているこの大型宝剣がちょっと違うのは何といってもこの愛らしいハート型の形。自然にできたものです。

前述の通り、この大型宝剣は元々、しゃもじ型なのですが本来2つ出るはずのしゃもじ型(茎節)がどういう訳が2つくっ付いた形で出てきてしまい、結果としてハート型になったものと思われます。

ウチワサボテンは時々このような異形も出てきて、面白い形になることがあります。

この大型宝剣は特にこのようなねじくれた形で成長しており、私たちはこれを「ねじれたハートのウチワサボテン」!と呼んでおります。

他では見られない一品物の形ですぞ!

ちなみに裏から見るとこう♪

トゲが少ないように見えますが、これがなかなかの曲者で、表面には小さなトゲが結構出ており、しかもこのトゲ、顕微鏡で見るとモリの様にギザギザの逆トゲになっていて一度刺さるとなかなか抜けないようになっています。(ハートに刺さったトゲ!)

なんとも思わせぶりな形をしたこの大型宝剣。他の品評会ではまず出てくることはないでしょうが本品評会に異色の存在としてお客様に注目されています。

ちなみにウチワサボテンの花言葉は「熱愛」!

案外、熱いハートの持ち主なのかもしれません。

さーて次にご使用回致します植物は

エントリーナンバー➈番「リトープス (Lithops 、ハマミズナ科)」

きゃ~♪きれい♡  

今回は頑張りました!特別ボリュームたっぷりに仕立てたリトープスのどんぶり!(通称:リト丼!)

さあ上からいってみましょう!

「白薫玉(ハククンギョク Lithops karasmontana `Opalina)」、「ウェベリー(Lithops comptonii var.rubrobrounnea)」、「紅福来(ベニフクライ)」、「紫褐紫勲(シカツシクン (Lithops lesliei var.rubrobrunnea)」、「緑福来(ミドリフクライ Lithops  julii ssp.fulleri var.fulleri `Fullergreen)」、「曲玉(マガリダマ Lithops pseudotruncatella)」、朱唇(シュシン Lithops karasmontana ssp.karasmontana var.karasmontana `topred」、「レティキュラータ Lithops julii ssp. var.reticulata」

すみません!勉強不足!今回これ以上わからない!(学名わからないのも有り!)

とにかく27種類もの、すごい数のリトープスが一堂に植えられています!

ちなみにこれが「緑福来」で~♪

こっちが「ウェベリー」♪

リトープスはハマミズナ科(メセン科)に属する多肉植物の総称である通称「女仙(メセン)」と呼ばれる植物の代表的な存在です。

南アフリカ、ナミビアが代表的な生息地で、年間降水量が250㎜以下の乾燥した所に生えています。

自生地では地面にめり込むようにして生えていて、一番上のきれいな模様の付いている平たい部分だけ地表に出し、この模様の部分から光を取り入れ光合成をします。

この模様には光を通す透き通った部分があります♪

この透き通った模様のある平たい部分は文字通り「窓」と呼ばれています。

リトープスが生えるのは砂礫が広がる岩砂漠!メノウ、ジャスパーなど石英類の小石の中に潜んでいるものもあります。

じつはこのリトープスの様々な模様は、その自生地の周りの石に合わせるかのようにその場所の石に似ており、一見するとどこに植物があるのかわかりにくい状態になっています(おそらくその周りにいる草食動物にはわかりにくい姿)。

このような特徴からこのリトープスは石に「擬態」している!といわれることがあります。

おそらくこんなイメージ! 本公園では自生地の雰囲気を出すため、こんな風に石に紛れてリトープスを植栽しています(第2温室 アフリカ館にて)

リトープス(Lithops)という言葉は、ギリシャ語の「lithos(石)+ops(顔)」から来ていて「石ころのような見かけ」という意味があります。

しかしこうやってまとめて植えられてみるとじつに美しい!一つ一つが作られた陶器の芸術品のようです。

ちなみにこのリトープスは、業者の方の好意で出品していただいたものですが、一つ一つの単価が高く、これだけ全部そろえて植えるのは作る側にもとても大変な事だったでしょう。

花も美しい!2つの膨らんだ葉の間から菊のような愛らしい花が咲きます。咲くのは秋!黄色、赤紫色、白、種類によって様々です。

花言葉は「こよなき魅力」♡この植物にぴったりです。

この美しい姿からこのリトープスは「生きている宝石」とも呼ばれています。本品評会、一番人気♪

初めてこのホームページを見る方のために、もう一つうんちく!

リトープスは美しいだけでなく、植物のくせに「脱皮」をする不思議な性質を持っています。

「脱皮」といっても春3~5月頃、外側の古い葉がしおれて真ん中から新しい葉が形成され、まるで脱皮をするように展開するという意味です。

新しい葉に養分を渡して古い葉はしおれて固く枯れていきます。水分の乏しい乾燥地で自分の体の少しでも水分を失わないように適応した結果、このような性質を獲得したものと思われます。

美しい外観と不思議な性質を併せ持つ「リトープス」、そのリトープスを小さな博覧会のように一堂に集めた「リトープス丼」!さて今回はどこまで行きますか?

さて、そんなわけで今回最後にご紹介いたしますのは

エントリーナンバー➉番「かねのなる木(またはカゲツ Crassula ovata 、ベンケイソウ科)

南アフリカが故郷のベンケイソウ科の多肉植物。丸く膨らんだ葉をコインに見立てて外国では「マネーツリー(money tree)」と呼ばれています(ダラープラント(dollar plant)と呼ばれることもあります)。

強健で育てやすく、さし葉やさし芽で簡単に増やすことが出来ます。別名「花月(カゲツ)」とも呼ばれ、盆栽の植物としてよく知られています(皆さんの家にも一鉢はありませんか♪)

いわゆる常緑低木に近い性質で無霜地帯の露地(つまり故郷の南アフリカのように暖かい所)で育てると3メートル以上の大きさになります。大株になると幹も太くなりまた花を咲かせるようになり、日本だと11~2月頃、星形の白かピンクの花を咲かせます♡

この公園でも第2温室(アフリカ館)に大きく育った株が植栽されていて、冬1月頃下の写真のような花を咲かせています。

ちなみに「かねのなる木」の花言葉は「幸運を招く」♪

んっ!この「かねのなる木」、よく見るとほんとにお金がくっ付いているような?・・・

そ~です!これこそがこの品評会にエントリーしているこの「かねのなる木」の一番の特徴!

日本にこの「かねのなる木」が入ってきたのは昭和初期のことと言われています。

そして戦後、日本が再びこの植物を育てる余裕が出来た時、縁起物として実際にこの「かねのなる木」こと「花月」に5円玉をくっ付けてあたかもお金が実っているように売り出され、人気を博しました。

この品評会の「かねのなる木」もそれに習ってお金(古銭)がくっ付けられています!

すぐ上の写真は、お金をくっ付けてまだ間もない状態!

新芽が小さいうちにお金の穴に通して、お金が抜けないように育てるのはそれなりの手間と時間がかかります(本公園のスタッフの苦労がしのばれます)。

ちなみにお金を通してもこの植物の生長には影響はありません(どのみち伸びてくると、剪定して形を整えなくてはならないのです)。

葉っぱだけでも日の光に当てるとキラキラ輝いてまさにコインのようです♪

この「かねのなる木」の仲間に葉の形成の生長点異状により、このコインのような丸い葉がラッパ状に変化している「ゴーラム」という植物があり、多肉植物好きの間で人気があります。この「ゴーラム」!別名「宇宙の木」(バーン!)というこれまた縁起の良い名前を持っています。

ちなみにこの丸い葉っぱ!日の光が足りないと落ちてしまうので、この植物を育てるにはよく日の当たるところで育てることが大切です。

「増税に負けるものか!」とこの「かねのなる木」、わりと人気があります♪

それにしても、戦後日本にこの植物を育てる余裕が出来た時に人気を博すとは、してみるとこの「かねのなる木」!金運の象徴というだけでなく平和の象徴でもあったんですね。

さ~て、そんなわけで、勢ぞろいいたしました今回のおもしろサボテン品評会の植物!

はたして、ご投票者の心を最もとらえることの出来た「栄えあるサボテン」は誰の手に輝くのか?(ドキドキ)

皆様はどれが一番好きな植物ですか♪

11月26日(日)が本品評会の最終日!

結果は12月後半、クリスマスに近いころ、ホームページ上にて発表させていただきたいと思います♪

(う~ん、ますますドキドキ!)

結果をどうかお楽しみに♪

植物エンターテイメント課 一同

記録:真鍋

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